第88章 Rainy day
事件は目撃者がいた事もあって早急に解決した
2人で残って報告書を作っている
「陣平さん、もう終わりますか?」
「待て、あとちょい…」
「私も…これを保存して印刷すれば…
あー、終わった!
コーヒー入れてきますね!」
一足先にが終わらせて、コーヒーを入れてくれた
「俺も終わりっと!」
「お疲れ様です」
「おー、お疲れ」
つかの間の沈黙を破ったのは俺だった
「なぁ、次の非番被ってるだろ?」
「そうだね」
「デートしようって話、覚えてるか?」
黙り込んでしまったの顔が見れない
どんな顔してる?
呆れてるか?それとも困ってるのか?
「覚えてる…けど、次の非番はダメなんだ…」
「どうして?もう予定入ってるのか?諸伏と?」
「ヒロくん関係なのは、そうだけど…ヒロくんと出かけるわけじゃないよ…」
俯いて、少し泣きそうな声色で、ヒロくんの両親の命日なんだ…と言った
「ヒロくん、まだ生きてるって高明さんに言えてないから、長野行くわけにいかないでしょ?
だから、代わりに私が毎年行かせてもらってる」
「もう、そうな時期か…」
毎年、諸伏の両親の墓参りにが行ってるのは知ってた
「あんまり覚えてないけど、おじさんとおばさんに可愛がってもらってたみたいなんだよね…
ヒロくんの所、男兄弟だったから、私を娘みたいに思ってくれてたって、高明さんが教えてくれた
だから、ちゃんと行っておきたいんだ
せっかく誘ってくれたのに、ごめんね…」
「諸伏の両親て…確か…」
「そう…
殺されたんだ、ヒロくんの目の前で…
本人は言わないけど、ヒロくん事件の事を、調べてる、と思う…
ひどいよね…高明さんが警察官になったのも、ヒロくんがそれを追いかけたのも、あの事件がきっかけなんじゃないかなぁ…」
俺も警察学校時代、その話を聞いた時は驚いた
明るくしてるもんだから、余計に…
でも、時々見せる諸伏の冷酷なあの視線
子供の時の経験からくるものなのかと、思ったりもした