第87章 TRIGGER
「もう、いいから…
思い出さなくていい、大丈夫だ」
を強く抱きしめながら、彼女の言葉を遮った
やだ…と、もがくを腕の中に閉じ込めて
もう一度力強く抱きしめた
そうしないとの心が壊れてしまうと思った
「松田さん…もう…平気です…」
弱々しい声でそう伝えてきたの体を離す
「本当か?無理すんな」
「大丈夫です、松田さんのスーツ汚しちゃってごめんなさい」
の涙で濡れてしまったけど、そんなのかまわねぇと告げて、ただ優しくを包み込んだ
今すぐ降谷を呼び出して
あの女のことを問い詰めたかったけど、こんな状態のを1人にしておけるわけもなく…今降谷に会えばもっとが苦しむかもと思ったら、こうすることしかできない自分が腹立たしかった
結局、俺は何もこいつにしてやれねぇ
無力だと感じた
の部屋に送って行って暖かいミルクをに飲ませる
こんな弱々しいの事をどう扱っていいかわからなかった
非番だった萩原を呼び出して、と一緒にいてもらう
聞き込みの続きと、一度本庁に戻らないと行けなかったから
「悪いな…」
「気にしないで、思った以上にちゃんひどい状態だし、1人になんて出来ないでしょ
わかるよ、その気持ち」
本庁に戻ると諸伏が、は?と聞いてきた
人気のない会議室で諸伏にさっき見た女の特徴を伝える
「ベルモットか…
を連れ去ったの、そいつだよ」
「やっぱりな…」
あの女がの記憶のトリガーだった
がああなってしまったこと、全部繋がった
よっぽど怖い思いをしたんだろう
握りしめた拳に力が入る
いつまでは苦しまなくちゃいけないんだ…
以前のような笑顔を最近見せてくれない
やっぱりどこか怯えていて、辛そうだった
萩原からの着信を取ると
「陣平ちゃんすぐ戻ってこれる?ちゃんが…」
全部思い出したみたいで、パニック起こしてて大変なんだと電話で伝えてきた