第86章 Overflowing feelings
潤んだ目でボソッと好きと言われて正直驚いた
松田はまだ後処理にかかっていて
疲れ果てているであろうを送っていこうと刑事課に行ってみた
少し話したかったっていうのもあるんだけど…
は明かりが消えた捜査一課の自分のデスクで突っ伏して眠ってしまっている
サラッとした前髪を撫でて、髪の間に指を入れて、のやわらかい髪の感触を味わっていた
「ん…」
やべっ…起こしちまう…そう思って、なでなでと頭を優しく撫でると、また気持ちよさそうな寝息を立て始めた
まだ起こすのは可哀想で、俺もが取ってる姿勢を同じように取った
の寝顔を見ているとどうしても触りたくなってしまう
柔らかい頬、プルプルの唇
くすぐったいのか、時々眉間にシワがよってる
クスクス笑ってしまいそうになるのを堪えて
寝顔を見つめる
我慢出来なくなって、チュッとの唇にキスを落とす
唇を離してすぐにの目が開いた
「え?諸伏さん…今…」
俺がキスしたことに驚いて椅子から転げ落ちた
「いたた…」
「なーにしてんだ、ほら」
手を差し伸べると大丈夫ですと顔を逸らしながら言う
あーあー、避けられちゃった…
バタバタと帰る準備を始めている
「送っていくよ?」
「だ、大丈夫です…お疲れ様でした…」
逃げるように帰っていくにムッとして、俺も後を追いかけた
「待てよ、キスしたのはごめん…
逃げんなよ…悲しくなるだろ…」
外に出た所で追いついて、の手首を掴んだ
「ごめんなさい…でも、今頭の中ぐちゃぐちゃで…落ち着いて1人で考えたいんです…
すみません…、離して…」
そう言われたら…手を離すしかなくて…
小走りで去っていくの後ろ姿を見つめるしかなかった