第85章 Settlement
「おーい、無事か?」
「大丈夫だ」
「あと少しだ、待ってろ」
「了解」
助け出された私は松田さんによって毛布に包まれた
「大丈夫だったか?
おつかれさん、全部終わったから…」
「なんで、私が警察官だってバレたんですか?」
あぁ、それはと諸伏さんが答えてくれた
なんも進展もない捜査を見かねた赤井さんが組織にいた頃、ボスの彼と顔見知りになっていた事を逆手に取って、私のことを怪しいと教えたそうだ
「赤井さん、接触して大丈夫だったんですか?
潜入していた組織にバレないですか?」
「囮に使われたのに、赤井の心配するなんてお人好しだな」
「あぁ、そっか…」
赤井さん以外の人間を嫌っていたボスだから、なんの問題もないらしい
「でも、よかった…」
赤井さんに迷惑がかからなくて本当によかった
ホッとしたら、足の力が抜けて、咄嗟に諸伏さんが支えてくれた
「大丈夫?」
「ごめんなさい…、大丈夫です…
あの、離して、ください…」
「だめ、離したら、立てないだろ…
このまま車まで連れていく」
まともに諸伏さんの顔を見れない私を不信がった松田さんは、地下で何やったんだと、諸伏さんに詰め寄る
「なんもしてねぇって、濡れ衣だよ」
本当か?と詰め寄ってくる松田さんに頷くしか出来なかった
本庁に戻ると萩原さんが飛んできた
「心配したよー、ボスに酷いことされてない?
怪我は?大丈夫?
あー、手首こんなになっちゃって、可哀想に…
でも、痣だけでほんとよかった…」
質問攻めにたじろぐ私を諸伏さんが気を利かせてくれて、着替えるように勧めてくれた
シャワーをして、着替えて誰もいない捜査一課に戻る
松田さんに送っていくから待ってろと言われていたから、自分のデスクに座って待っていたら、ウトウトしてきてもう目が開けられなかった