第84章 sweet room
「大丈夫か?」
諸伏がコーヒーを2つ持っての席に座る
「娘を嫁にやる時の父親の気持ちってこんな感じか?」
「ははっ、もっといい例えはなかったのか?」
確かにと松田もコーヒーに口をつけた
「お前は?平気か?」
涼しい顔をしている諸伏に質問を投げつける
「平気なわけないだろ
見せられるなら、見せてやりたいよ
俺の腹ん中、ドロドロしてて真っ黒なかんじゃないかな」
乾いた笑い方をした諸伏の目は時々見せる冷酷な目で…
背中がゾクリとした
「俺は…松田、お前にだって嫉妬してんだ…
こんな嫉妬深かったなんて、を好きになって始めて知ったよ」
「右に同じく…だよ」
俺だって、諸伏に嫉妬してる
「俺さ、この前…あいつに好きだって伝えたんだ…
記憶なくす前からお前が好きだったって…」
「そっか、松田はすごいよ…俺にはそんな勇気まだない…
拒絶されたらどうしようとか情けねぇ事ばかり考えちまう…
記憶なくしてからは、お前といることが多いだろうから…俺には勝ち目はないんじゃないかって…そう思ってる…」
さっきの冷酷なあの目とは打って変わって、力なく微笑む
「別にすごくねぇよ…抑えきれなかったってだけだし…」
諸伏が入れてくれたコーヒーを飲み干して、紙コップをぐしゃっと握った
「あのボス…に何かしてみろ…地獄を見せてやる…」
「手を貸すぜ、松田」
諸伏の携帯が着信を告げた
「赤井だ…ちょっと話してくる」
席を立った諸伏は
電話口で何やら赤井と話し込んでいる
荒い口調だったから、揉めてるんだろうなと悟った
「松田、行くぞ
が危ない…」