第84章 sweet room
あんな声をイヤホン越しに聞かされて、俺はどうにかなりそうだった
ここが警視庁内ということも全部わかっている上で、シャワーを浴びているの元に向かう
驚いて、出ていってと叫ぶに口付けた
「んん…やっ…ま、つだ…さ…んッ…」
服を着たままだった俺は全身ずぶ濡れになりながら、ボディソープを手に取っての身体を洗った
「やっ…自分で…できますから…もうやめてください」
「嫌だ…あいつに触られた所全部俺が洗う…」
やだと暴れるを押さえつけて、丁寧に全身組まなく洗った
「俺がお前を好きだってわかってるだろ…
ああなるってわかってて、送り出した俺の気持ち…わかるか?」
「でも、これは、恥ずかしすぎます…やめてください…」
泣きそうなの声に我に返り、ごめん…と言ってシャワー室を出る
濡れてしまったスーツを脱ぎ捨てて、冷静になろうと努力した
シャワーから戻ったは終始俺にビクついていて、諸伏の傍から離れなかった
諸伏が席を外した隙にの傍に寄った
「ごめん、もうあんなことしないから、そんな怯えないでくれ」
「……、ほんとに、約束ですよ?」
あぁ…と返事をすると小さく笑みを浮かべた
それから何度も男はを呼び出して食事に誘った
でも、それ以上は何も無かった
高級なディナーをと楽しんで会員制のバーで1杯飲んで、タクシーで帰す、その繰り返しだった
怪しい薬を飲まされている様子もない
捜査は行き詰まっていた
「どうしたもんかな…」
「今日、これから会うので、ちょっとカマかけてきます」
「無茶すんな…」
心配しなくて大丈夫ですよと笑うを見送った