第84章 sweet room
ネックレスをつけてもらって、無防備な首筋に男の舌が這う
やだ…気持ち悪い…
でも、少しは受け入れないと…怪しまれてしまう
「体の力…抜いてください」
「や…、ダメです…」
チュッチュッと顔や首筋にいくつもキスが落とされる
目をギュッと閉じて、とにかく耐え続けた
ベットに押し倒されて、男の手が身体を撫でる
背中のファスナーを下ろされて、ドレスの中に手が侵入してきた
グラリと視界が揺れて、目の前が真っ暗になる
震える身体を止めることが出来ずに、なんの涙かも理解出来ないまま頬を涙が伝う
驚いて身体が離された隙に横を向いて、私は小さく丸くなった
「すみません、急に押し倒したりして…驚かせてしまいましたね」
悪事を働いているマフィアのボスとは思えないほど、優しく接されて戸惑った
落ち着いてから、泣いたりしてごめんなさいと謝る
「今日、出会ったばかりですし、急ぎすぎました
あなたを口説くのはまたの機会のお楽しみとしておきます」
ネックレスを返そうとすると、持っておいてくださいと本当にプレゼントされてしまった
後、これも…と渡されたのはかわいい小瓶に入った香水
「あなたを私の好きな香りに染めたいのです」
手首に香水をつけて、ほら、あなたに良く似合う香りでしょうと妖艶な笑みを浮かべた
次、会っていただけるならネックレスも香水もつけてきてくださいと約束させられた
「今夜は楽しかったです
こんな愛らしいあなたと時間を過ごせたこと、嬉しく思います」
タクシーを呼んでくれて、何事もなく私は開放された