第81章 return
「え、諸伏さん、公安に復帰するんですか?」
「そうなんだ…なんか変な感じ」
裏の理事官からお達しが合って、そろそろ復帰してもいい頃合だと
でも、表立ってはまだ動かないようにと主に内勤で書類整理やハッキングだ
やってることはセーフハウスにこもっていた時と変わらないけど、気分が違う
FBIとの橋渡しも俺の仕事だ
これから合同捜査にもなることがあるかもしれない
兄さんにも会いに行ける
まだ許可は出てないが、理事官はそのうちにと約束してくれた
公安の仲間は死んだと思っていた俺が出勤してきたから驚いて塩を巻かれた
塩まみれになった俺をと松田、萩原に笑われた
みんな口を揃えてよかったなと言ってくれてちょっと泣きそうになった
松田にちょっといいかと呼び止められて2人で喫煙所に行く
「え、が?」
「寝言だけどな…お前の事ヒロくんて読んでた
俺の事も…名前で呼んだんだ」
「なんの夢見てたんだろうな」
「楽しい夢じゃないのは確かだぞ
泣いてたからな」
なんで松田がその場所にいたかとか気になる事はたくさんあったけど、この前新人君の歓迎会をやったって聞いたからきっとその時だろうな
「あと、刑事課の新人、の事狙ってるから覚悟しとけよ」
「はぁ?まじか…ほんとどこいってもモテるんだから」
「もしかしたら、萩原以上かもしんねぇぞ」
苦笑いする俺たちに話題の主がやって来て、事件を知らせてきた
「じゃぁな」
「おぅ、早い解決を頼んだぞ」
久しぶりに着るスーツは窮屈だった
組織に潜入していた時にライと馴染むために始めたタバコ
松田に貰っていて正解だったと喫煙所に向かった
「諸伏さん!」
「か、戻ったのか」
犯人の早期逮捕でこれから事情聴取で帰りは深夜になりそうだとボヤいていた
「頑張れよ」
「はい」
缶コーヒーとミルクティーを買って刑事課に戻っていく
松田の分かなと後ろ姿を見ながら思った
同じ部署に俺もいたけど、ほとんど警視庁内で仕事したことはなかった
少しだけ松田を羨ましく思う
公安が追う事件の関係でずっとハッキングをしていた
欲しい情報が見つかった時にはもう深夜で風見さんに、今日はもういいぞと帰宅の了承を貰って本庁を出た