第79章 Poaro

「さん、いらっしゃいませ」

松田さんがお休みの時は、ポアロでランチをするように言われていた
何故？と聞いた事があって

「虫除けだ」と松田さんはぶっきらぼうに言った

意味がわからなくてキョトンとしていたんだろう
松田さんに笑われてしまった

「今日はドリアが食べたいです」
「かしこまりました」

ランチタイムを終えたポアロはゆったりとした時間が流れてて、とても落ち着けた

「あー、美味しかった
安室さん、ご馳走様でした」

「さんはいつも美味しそうに食べてくれますね」
「だって、本当に美味しいんですもん
いいお嫁さんになれますよ、安室さんは」
「ははっ、どうせならお嫁さんには来て頂きたいですね」

くだらない話で安室さんと盛り上がる

「あ、そろそろ行かないと…佐藤さんに怒られちゃう」
カウンターから立ってお会計をしてもらった

「忘れ物はありませんか？傘は持ってます？」

空を見上げると今にも降り出しそうな空

「折りたたみ持ってますので、大丈夫です
安室さんお母さんみたいですよ？」

開けた扉を押さえられて
耳元で響く安室さんの声

「あなたは本当に今も昔も僕の事を男としては見てくれないんですね…」
安室さんの腕が後ろから回されて、キュッと抱きしめられる
「あ、安室さん？離して…誰かに見られちゃう…」
「構いません」
「えっ…えっ？」

正面に向き直って顎を掴まれた
安室さんの整った綺麗な顔が近づいてくる

「やぁ…」

キスされる
もがいて安室さんの腕を振り払って急いでポアロから出た

必死で走って、雨が降り出しても傘を刺さずに走った