第75章 The Darkest Nightmare
お前だけだよ、俺がデートしたい相手は…
そう伝えたかったけど、ギュッと拳を握って飲み込んだ
館内を見渡しながら歩いているとザワつく場所を発見した
子供がエスカレーターの上から落ちたらしいと聞いて現場に駆けつける
子供はメガネの少年の連れで、落ちたガキを助けたのはチラッと俺が見たあの女…
雰囲気が一晩でガラリと変わっていて、呼びかける姿はガキを本気で心配している感じだった
「松田さん、あの人から微かにガソリンの匂いがします」
「はよく鼻が聞くな、よし、目暮警部に連絡するぞ」
目暮警部に連絡して、運転手が東都水族館にいるかもしれないと伝える
メガネの少年から毛利探偵に記憶喪失の女性を保護したと連絡があったらしい
同一人物と断定できると判断して俺たちは尾行することになった
ガキ3人が女をつれて向かった先は観覧車
俺ともカップルを装って乗り込み事にした
2人ともガキ立ちには面が割れてるから気づかれないように慎重に尾行をした
ゴンドラはガキ達の1つ挟んだ後
「中の様子良く見えませんね」
「見失わなかったらいいさ」
と観覧車に乗るのは2回目
両方とも色気のない事件の真っ最中
本来なら甘い雰囲気でも出てる頃合いなのに、前回は爆弾の解体、今回は尾行
好きな女と乗ってるのになとため息を吐きたくなった
「あれ?どうしたんだろう…」
「何か思い出したのかもしれねぇな
この前のお前にそっくりだ」
頭を抱えて苦しんでいる姿はこの前のみたいだった
観覧車から降りれば医務室へ運ばれる女
連絡を受けて佐藤と高木がやってきた
「やっぱり運転手は彼女ね、記憶を失ってるから警察病院へ搬送するわ」
「了解!」
「警部から伝言です
2人は少し仮眠を取ってから戻ってこいと言ってました
昨夜から一睡もしてませんもんね」
お言葉に甘えて車の中で仮眠を取らせてもらうことにした