第70章 Notice
「上司のお使いなんで…じゃ、私はこれで…」
待てと大和警部に止められた
「信州そば食ってけ、奢ってやる」
「勘助くんがそう言うのは珍しいですから、是非ご一緒しましょう」
「お前は自分で払えよ…
上原ぁ!飯行くぞ」
やっぱり2人のやり取りは零くんと陣平さんみたいで
みんなの顔が脳裏に浮かぶ
上原由衣刑事も一緒に、大和警部行きつけのおそば屋さんにきた
「今日は泊まっていくんですか?」
「どうしようかなって…悩んでます」
「ゆっくりしていけよ、山賊焼に、さくら丼
美味いものまだまだあるぜ?」
「ちょっと勘ちゃん、彼女、女の子よ
そんなガッツリ系ばっかり食べさせてどうするの?」
「いいだろうが、美味いもの食えば元気になるだろ」
「大和警部…?」
「さんの元気がないのは一目見れば、分かります
勘助くんは元気付けようとしているんですよ」
分かりにくいですがねと耳打ちされた
「すみません…ちょっといろいろあって…」
いい旅館を紹介してやると大和警部は言った
「美味いもの食って、温泉入ってゆっくりしていけ」
「では、お言葉に甘えて…」
「よしっ
お前らもさっさと仕事終わらせろよ
今夜はこいつと宴会だ」
高明さんはポンと肩に手をやって微笑んだ
ヒロくんに笑いかけられてるみたい
本当によく似てると改めて思う
大和警部が紹介してくれた旅館で
4人で料理とお酒に舌鼓を打つ
「美味しい!」
「だろ、ほらもっと食え、酒もあるぞ」
大和警部のお酌で日本酒を飲む
陣平さんと一緒に飲んだことを思い出した
私のここ数年思い出は、全部彼ら達と一緒だった
なんで離れるって言っちゃったのかと後悔する
「御手洗いってきます」
出来上がっている大和警部と涼しい顔をして飲んでいる高明さん
飲みすぎと大和警部に注意している由衣さんを残して、部屋を後にした
トイレに行って、綺麗な日本庭園を眺めていると由衣さんに声をかけられた
「飲みすぎちゃった?」
「あ、いえ…綺麗だなぁって」
「諸伏くんにお願いされたんだ…
異性の自分には話しにくいこともあるだろうから、あなたの悩みを聞いてやって欲しいって
どうしたの?彼氏と喧嘩でもした?」
「彼氏じゃ…」
「でも、大事な人だよね?」