第70章 Notice
「ほぉー、さんの事を気に入っているのは本当のようですね
彼女にちょっかい出さないでください
とても、大事な子なので…」
私の肩を抱いて引き寄せられた
「わかっています、彼女は魅力的ですから、心配なさる気持ちも…」
「では、失礼します」
「沖矢さん、おやすみなさい」
足早に工藤邸を後にして、ちょっと待ってろと零くんの車に押し込められた
部下に指示を出している姿を車の中から見つめる
私への疑いは晴れたみたいだけど、零くんはこれからどうするつもりだったのかな…
赤井さんを組織の奴らに渡すつもりでいたのかな
ヒロくんは無事だったのに、赤井さんに執着する意味がよく分からない…
「悪かったな…」
「うん…」
戻ってきた零くんは私にも謝罪の言葉を言った
ぐしゃぐしゃと頭を撫でられて、後頭部に手が回り込んで零くんの胸板に押し付けられた
「が僕を裏切ってなくて良かった…」
チクンと少し胸が傷んだ
「長野に行ってくれ
長野県警の捜査一課長、黒田兵衛にこの土産を持って言って欲しい」
ある事件で世話になったお礼と言う名目で私は長野に飛んだ
高明さんや大和警部にも久しぶりに会えるかなーとちょっと期待をして…
最近はずっとひとりぼっちだったから…寂しかった
寂しいって感情は、誰かといて楽しいって言う時間がないと感じないものだと思う
私はみんなと一緒にいた
みんなが一緒にいてくれたから私は寂しくなかったんだと…改めて思う
ひとりぼっちになってみんなの事が大切だと強く実感した
「おい、あんた…」
長野県警の前で佇んでいると大和警部に会った
「こんにちは」
「こーめいに用事か?呼んでやるぞ」
「捜査一課に用事があって…」
それなら着いてこいと大和警部に案内された
「捜査一課長はお手隙ですか?」
「今、出てるからお前が来たことは伝えておいてやる」
「では、これを…こっちは捜査一課の皆さんで食べてください」
零くんから渡されたお土産を大和警部に渡した
「おやおや、さん」
「高明さん!」
ご無沙汰していますと挨拶をした
今日来たわけを話すと、わざわざ御足労感謝しますと…