第69章 farewell
「なんて、顔してんだ…ブサイクだぞ」
翌日登庁した零くんに吐き捨てられるように言われてしまう
「すみません…」
泣きすぎて腫れた瞼にメイクも適当で、社会人としてはどうかと思ったけど、それ以上に堪えていた
「今日は仕事にならんな…」
資料整理してろと別室に押し込まれた
お昼過ぎに別の同僚の子から電話が入る
「ねぇ、昨日何があったの?
あの子とご飯行ったんでしょ?に騙されたって言って回ってるよ?」
詳しく訳を聞くと、私が陣平さんの事を好きなのを知っていて、目の前でいちゃつかれた
付き合う気もないのに陣平さんのことを弄んでて酷いと
松田さんもあんな子のどこがいいのか全然わかんない
好きって思ってたけど、女を見る目ないよねと
言っていると教えてくれた
ショックだった
私のことはいい…自分で蒔いた種だから
でも、陣平さんのことを悪く言われるのは許せなかった
教えてくれた同僚にお礼を言うと、妬みだから気にすんなと言ってくれた
私は離れる覚悟を決めた
今日は陣平さんがいるマンションに戻る
陣平さんの部屋のチャイムを鳴らすと、慌てて出てきた
「、なんで電話出ねぇんだ?」
「心配したよ」
研二さんも来ていて、とりあえず入れと言ってくれた
「話がある」
重たい空気の中、私は口を開いた
「私、引っ越ししようと思ってる」
「なんで?」
「陣平ちゃん落ち着けよ」
「陣平さん達と必要以上に会わないって決めたから…」
「はぁ?」
私の肩を掴んでなんでた?と何度も聞いてくる
「やめろって、昨日の事が原因…なんだろ?」
「私のせいで陣平さんが悪く言われるのが嫌だから」
「言わせたいやつには言わせとけばいいんだよ」
今日一日でいろんな話を聞いた
根も葉もない噂話だった、その話が事実ではないってこと、私が一番よく知ってる
でも、酷い言葉で陣平さんや研二さんの事を悪く言う人がいるって初めて知った
そんなの私が耐えられない
今は一緒にいない方がいいと思って、ここの部屋も今日解約した