第65章 breaktime
陣平さんのあの言葉が頭から離れなかった
相手に思いが届くだけで幸せか…
本当にそうだな…とバーボンを飲みながらそう思った
1人で飲んでいたのに、飲みすぎてしまったみたいで、ベランダに出て春の夜風に当たった
星がキラキラ輝いてて、見とれてしまう
タバコの香りが香ってきて、陣平さんの部屋の方を見ると紫煙が上がっていた
「陣平さんいる?」
身を乗り出して声をかける
「お前、危ねぇだろ
乗り出すなって、落ちたらどうする?」
「大丈夫だよ、それよりまだ寝ないの?」
「いろいろあんだよ…」
「そっち行ってもいい?」
一瞬驚いたような表情をして、いいぜと言ってくれた
玄関に回って、私を出迎えてくれる
「寂しくなったのか?」
「そうみたい…」
春の冷たい風を感じたら人肌が恋しくなった
こんな時だけずるいと思われるかもしれないけど…
おでこをトンと陣平さんの胸元に預けた
「またそんなかわいい事して、俺にどうされたいんだよ」
口ではそう言っているけど陣平さんの綺麗な顔が甘えたそうにしているのは気の所為なのかな…
「ん」
両手を広げておいでとすると
ポスっと陣平さんが私の腕の中に収まった
「の腕の中気持ちいい
優しい香りと柔らかい感触がたまんね…」
「自分でしといて恥ずかしくなってきた…」
「疲れてる俺を癒してくれてるんだろ?」
「そういうことにしておく…」
お返しと今度は陣平さんが抱きしめてくれた
「お前みたいに柔らかくねぇから、気持ちいいって事はねぇか…俺が抱きしめたかっただけだな…」
だんだんと力強くなってくる陣平さんの腕
暖かくて、安心する
良くないことってわかってるのに…
陣平さんの腕から抜け出せない