第65章 breaktime
報告書を、仕上げて刑事課に行くと佐藤さん高木さんも一緒にいて、陣平さんと何やら話していた
「ちゃん遅いわね」
「あっちも忙しいんだろ」
「松田さん、彼女と付き合ってるんですか?」
一気に陣平さんのオーラが変わった…
「お前らはそうだろうが、みんながみんな相手に気持ちを受け入れてもらえるもんでもないだろ…」
私に気づいてない3人が話す内容に、完全に出ていくタイミングを見失った
「余計な事言わないの!」
「すみません…」
「相手に気持ちが届くってそれだけで幸せなんだから…大事にしろよ
じゃぁな、俺はを迎えに行く」
陣平さんが席を立ってこちらに向かってくる
どうしよ…気まずくてあわあわしてしまっているところに、陣平さんが顔を出した
「いつから居たんだよっ…」
「えーと、えーと…今!」
完全に嘘だとバレてて、陣平さんは口元を隠していた
これは陣平さんが照れてる時に良くする
「来たんなら声かけろっ!行くぞ」
2人にお疲れ様ですと声をかけて陣平さんの後ろをついていく
「あのー、立ち聞きするつもりはなくて…」
「そんなこと言わなくても分かってる」
チラリと見えた横顔が真っ赤に染まっていて耳まで赤い
陣平さんの片腕が私の首に回ってる
見るなよ、と言われてるみたいだった
「乗れよ、送ってく」
本当は私に運転させるつもりだったみたいだけど、さっきのことですっかり目が冴えたらしい
「ったく、恥ずかしい所見られちまったな…」
俺らしくないなとため息をついた
なんて言っていいかわからなくて、陣平さんを見つめていた
「そんなに見つめるなよ、穴が開いちまいそうだ…」
「わっ!」
腕を伸ばしてきて、ぐしゃぐしゃと頭を撫でられた
「ちゃんと運転して」
「大丈夫、お前乗せてるのに、無茶な運転はしねーよ」
夕食はお互いもう済ませていたので、お酒を買ってマンションに戻った
「また、明日…」
「私は非番でーす
あんまり飲みすぎちゃダメだよ、早く寝てね?」
「わかってるよ、じゃあな」
すぐ隣なのに私が部屋に入って鍵をかけるまで、見ているのが、一緒に帰った時の日課だった
陣平さんは本当に優しくしてくれる