第64章 sweet&cool
歩美ちゃん…それ以上余計な事は言わないで…
「では、僕達はデートの続きといきましょうか」
助手席のドアを開けてくれてエスコートしてくれる
子供達に手を振ってその場を後にした
安室さんの横顔はとっても不機嫌で、この後何か質問攻めに合いそうな予感がした
「昴お兄さんとはどういう関係ですか?」
「前にも言いましたよ」
「おかしいと思わないのか?」
「なにが?」
車を地下駐車場の防犯カメラの死角になるように停める零くん
「沖矢昴でしたね」
「はい」
「沖矢昴の経歴ですよ、不審な所が全くない」
「善良な市民なら当たり前では?」
「作られたって気がしてしょうがないんですが、本当に何も知りませんか?」
助手席のシートのリクライニングをいじって座席ごと私の事を押し倒す
「わっ、なにす…る…」
上から覗き込んでくる零くんの色気に言葉が出てこない
「素直になった方が身のためですが…」
「知らないったら、知らないもん!」
退いて!と強く言ったら、掴まれた手首が更にぎゅっと強く握られた
「僕の事、裏切らないで下さいね」
「しないよ、そんなこと…」
零くんに嘘をつくのは心苦しいって気持ちもやっぱりあったけど、赤井さんが生きてるってバーボンには知られちゃいけない
零くんと赤井さんが協力体制を取れば、あの組織を壊滅させることも出来そうなんだけど、お互いが嫌ってるってヒロくんが言ってたし…
今はまだ無理だろうなと思っていた
その時までは赤井さんのことは黙っていなきゃいけない
ミシッと骨が鳴ったような気がして…痛いと訴えてようやく離してくれた
「すみません…」
零くんの手形がくっきり私の手首に残っていて
自分で付けたというのに、そこにキスをしてくる
零くんの考えてることがわからない…
「もう、大丈夫だから…そんなこと…しないでよ…」
痛みがまだあって、零くんの唇が触れる度にピクンと反応してしまう
「次、あなたと沖矢昴の関係について怪しいと思ったら、身体に聞きますから、覚悟しておいて下さいよ」
「私にハニトラ仕掛けるの?!」
身内同士で?信じらんない…
「僕にそんなことさせないで下さいね」
「わかってます…」
お願いだから、早く和解してくれ…と願うのだった