第64章 sweet&cool
「あ、ごめん、重かったよね…」
「んんー、のかわいい寝顔たっぷり見れたから満足だし」
「もう、軽々しくそんな事言わないのー」
ちょっと一瞬ドキッとしちゃったじゃない…
慌ててヒロくんの上から退いたら手首を取られて
「軽々しくなんて言ってねぇよ」
「う…」
「小さい頃にに抱いてたかわいいと今のかわいいって思うのとではわけが違うってこと、ちゃんと分かってる?」
「私ね…」
いつか陣平さんにしたかわいいは嫌いって事をヒロくんに初めて話した
「それは…なんかごめん…
かわいいって他の奴から言われても喜ばないのってそれが原因?」
「男の人のかわいいは、全部小さい子に向けて言ってるように聞こえる」
逆に滅多に言われないけど、女の人からかわいいって言われるとそっちの方が照れるようになっていた
陣平さんだけは好きって気持ちが十分に伝わってくるから、そう言われるとドキドキしてしまう
「くそー、俺のせいかよ…松田の言葉にはドキドキするってのが悔しい…
松田もにぞっこんだもんな…」
「改めて言われると恥ずかしい…」
ふふっ、て少し笑ってからヒロくんの胸元に抱き寄せられて好きだよって呟かれた
「それ、反則っ!ずるい!」
「ドキドキした?」
「したっ!もう、対抗してそんなことしないでよ!」
このままでは心臓が持たないと思い、キッチンに逃げた
ガチャガチャといつもより大きな音を立ててしまうのは、さっきのドキドキがまだ収まらないから…
コーヒー豆を準備している間にチラリとヒロくんを見れば、こっちをみて口端を上げて笑っている
ドキッ…
手元が狂ってガチャンと更に大きな音がした
「あははっ」
「こっち見ないで…」
ニコニコしてるヒロくんは昔、恋焦がれた笑顔のまま何も変わってなくて…
胸の奥がキュンとなった