第61章 common cold
くしゅんとくしゃみをしてしまい研二さんに笑われた
「風邪?」
「んー、どうかな…ちょっと喉が痛い」
手、出してと言われて広げて待っているとのど飴をくれた
「ありがとう」
研二さんのそういう気配りがモテるんだよなぁ、きっと
鼻を啜ったらきっとポケットティッシュを差し出してくれて、熱っぽいと言えば、ストックしてある栄養ドリンクをくれるんだろうなと勝手に想像した
零くんがハギが1番モテるんだと言っていたのはこういう事なのかなとぼんやり思っていた
「今日は寄り道しないで帰りな」
「んー、でもヒロくん所行かないと…飢え死にしちゃう」
「あいつ元気?」
「零くんにこき使われてる」
外に出たそうだけど、やることが山積みで言葉通り缶詰で、食べてと言わないと終わるまでやり続けちゃう
「あいつらしいなぁー
目の前のことに一生懸命で、集中力半端なくて
狙撃訓練の時のあいつ見せてやりたいよ
誰も近寄らせないオーラっていうか、とにかく凄いんだ
男の俺でも見惚れるくらいかっこいい」
「ヒロくん、狙撃得意だもんね」
「なーに、仲良くしてんだよ」
のしっと頭に重みがのしかかる
「首折れるかと思った!」
陣平さんが私の頭に腕を置いてもたれかかってくる
「せっかくちゃんと喋ってんのに邪魔すんなよ」
「邪魔しに来たんだよ」
私の言葉を無視して、2人でじゃれあっている光景はなんとも微笑ましい
何笑ってんだと陣平さんがむにーっとほっぺを摘んできた
「いひゃい…」
よく伸びるなと研二さんに感心されるけど、別に嬉しくないんだか…
「お前顔赤くないか?」
「陣平さんが引っ張るからでしょー」
お返しと陣平さんのほっぺを摘もうと手を伸ばした
甘いなとその長い腕で頭を押さえつけられて、私とじゃリーチの長さが違うから、届かない
悔しいーと思っていると
「お前らはやっぱりそうやってじゃれあっているのがいいと思うぞ」
しみじみ研二さんが言うから2人とも動きを止めた
「避けたりしてんの喧嘩したりしてんの見んのこっちも辛いんだからな」
つんつんと私のほっぺを突っつく研二さん
「仲良くやれよ」と研二さんはそう言った
「だってさ」
頬杖を付きながら、ニヤリと笑う陣平さんにわかったと告げる
「さて、午後も頑張りますか」
んーと伸びをして歩き出す2人の背中を追いかけた
