第60章 ex
何度目だろう沖矢さんとの関係を陣平さんに確認されたのは…
「だから、沖矢さんが言った通りだって言ってるのに…」
「なんか怪しいんだよな、あいつ…」
さすが、頭キレッキレな陣平さん…
でも、彼がFBIの赤井秀一ってのは絶対隠さなきゃいけないことで、バレるわけにはいかない
「しつこい男は嫌われるよー
沖矢さんいい人じゃん」
研二さんの助け舟に乗っかりたい
でも、今口を開けば余計に怪しい…
ふぅーと1つため息を下ろした
「陣平ちゃんは妬いてるだけだから、気にしないでね」
「萩原!」
陣平さんの大声に思わず身体が固くなる
「ちゃんびっくりしてんじゃん…」
よしよしと私を撫でる研二さんの手を陣平さんが取り払った
「妬いて、悪いか?
お前の事に関しては俺は余裕ねぇんだ…」
悪い…今日は帰ると全員の分の会計をサラッとしてしまう
どうしようとオロオロすると、研二さんが口を開いた
「俺のことはいいから、追いかけて
マンション一緒なんだから、俺と帰るより効率的でしょ」
俺はまだ飲み足りないしと、追加のビールを注文している
「ごめんね、またね」
手を振ったら振り返してくれてBARから足早に出た
階段を駆け下りて、辺りを見回すと陣平さんの背中を見つけた
走って追いかけるけど、今日はいつもより少しヒールが高い靴を選んでしまった自分を呪いたい
「待って…陣平さん…」
読んでも振り返ってくれなくて高いヒールはブレーキになって、私は走るのを辞めてしまった