第59章 graduate student
「好き…ですよね、さんのこと…」
「はぁ?」
なんでおめーにそんな事言わねぇといけねぇんだよと睨みつけた
「初対面の人にバレるってよっぽどだそ、陣平ちゃん」
「うるせーよ」
ちょっかいかけんなと牽制しておきたかった
でも、その権利は俺にはない
チクリと胸が痛む
「陣平さーん、持てない
取りに来てー」
マスターが作った酒を取りに来いとに呼ばれて取りに行く
「はいはい…無理して持つなよ」
「だから呼んだの」
「小間使いか?」
「陣平さん優しいから」
そういうのは狡いと思う
よく言うと小突いておいた
フライドポテトも出来上がったよとマスターに声をかけられて取りに行ったはカウンターに座る男に声をかけられていた
連れの男が3人もいるのにいい度胸してんなとテーブルを立ち、昔遊びで降谷としていたボクシングの右ストレートを相手の顔に寸止めした
と、ほぼ同時に沖矢さんもフィンガージャブの寸止めを披露している
「すみませんでした」
冷や汗をかいて青ざめている男はそそくさと店から出ていった
「截拳道か…」
なかなかやるな、こいつ…
「2人ともごめんなさい…」
シュンと落ち込むに萩原んとこ行っとけと背中を押した
「あんた、ほんとに大学院生か?截拳道だろそれ…」
「そうですよ、昔父から教わりまして、多少の心得があるだけですが…」
「かなりの腕前と見たが、勘違いか?」
「そうですか?警察官のあなたにそう言って貰えるとは思いませんでしたね」
食えない男だな…
に危害が及ばないならそれでいいが…
胡散臭さと截拳道の腕前が気になってしょうがない
「1度手合わせ願いたいね」
「いずれまたどこかで…」
ニヤリと笑ってメガネをあげた沖矢昴はそろそろお暇しますねと、万札を置いて出ていった
学生に奢ってもらうなんて、社会人としてのプライドが許さなかったからに返しとけと突き返した
苦笑いしながらお預かりしますと3つ折りにして財布にしまった
こいつと沖矢昴が会うきっかけを作ってしまったのは萩原に指摘されて気がついた