第59章 graduate student
はというと、沖矢昴から距離を取ってなんだか気まずそうに酒を飲んでいた
「どうした?」
「いや、なんか変な感じだなぁと思って
陣平さんと研二さんが沖矢さんとお酒飲んでるの、不思議な感じ」
「それだけ?」
「え?うん…」
ちょっと酔ったかな…と誤魔化された
「で、と沖矢さんはなんで知り合いなんだ?」
「それは…」
「それは、僕がさんが仲良くしている博士の家の隣に住んでいるから…ですね
僕は工学部博士課程なので、博士の研究に興味がありまして、お手伝いさせてもらってます
さんも、発明に興味がありそうで博士の家に来られた時に少しお話をさせてもらってるってだけですよ」
「ふーん、高校生の時よく面白いもん作ってたもんな、話が合うんだ」
「大学は?」
「東都大学大学院」
萩原と俺が吹いた
「エリートじゃん!」
「かしこかよ!」
驚かないに驚いた
「知ってたのか?」
「ううん、今日初めて聞いた」
「ほら、諸伏の兄ちゃんが東都大学法学部卒だから…」
免疫あるんだよと萩原は言う
大学より大学院の方がすげくねぇか?
しかも工学部だろ…
の人脈は謎すぎる
メガネのボウズを通してあいつの同級生の小学生にも懐かれてるらしいし、老若男女本当に誰からも好かれるやつだなと感心する
「お二人はさんの同僚ですか?」
「先輩の方が近いかな、ちゃんの幼なじみの2人と俺達が同期で、面倒見てるうちに仲良くなった」
「私、面倒見られてたの?!」
「よく勉強見てやってたろ?苦手な化学、陣平ちゃんに泣きついてたじゃん」
「その節はお世話になりました」
深々と頭を下げるに沖矢さんは笑っていた
「楽しそうでいいですね
僕もさんともっと早く出会いたかった」
あ、他意はないですよと付け加えられたその言葉の意味をどうしても考えてしまう
これ以上ライバルが増えるのはゴメンだ
「ねぇ、チーズ頼んでいい?みんなお代わりは?」
グラスはほとんど空で、全員の酒とフードの注文
をしに行った
マスターに捕まって楽しそうに話をしている