第56章 Secret
零くんがくれたワンピースに袖を通して
研二さんのくれたストールを巻いた
これは、20歳の誕生日にプレゼントしてもらった
陣平さんのくれた靴
デートした時に買ってくれたっけ
ヒロくんのくれたネックレス
発信機つきだけど、今も大切につけている
お守りみたいにみんながくれたもので身を固めた
ヒロくんと赤井さんに見送られて私は店へと足を進めた
「お疲れ様です」
「入れ」
店に着くと、オーナーと店長両方いた
ニヤニヤしてて気味悪い…
2人が私を挟むようにして立った
すり抜けて逃げようとすれば手を掴まれてあの子が言った扉の方へと連れていかれる
嫌だと抵抗すると、暴れるなと低い声で言われ身体を強ばらせる
乱暴にベッドへ投げられてカメラが入ったバックも取られて部屋の隅へ投げられた
カメラへ映り込むために、怯えているふりをして撮影範囲へと移動した
「逃げるなと言っただろ」
パシッと乾いた音が部屋に響き渡った
口の中が切れて血の味がする
よくもビンタなんてしてくれたなと、2人を睨みつけると余計にニヤニヤし始める
1人は私の頭の上から手首を抑えて、自由を奪われる
逃れようともがくけど、手首をひとつにロープで縛られた
もう1人は、私に跨って、零くんがくれたワンピースに手をかけた
ボタンが弾け飛んで、下着が顕になる
ワンピースの裾から手が入ってきて、太ももを撫でられた
演技じゃない涙が溢れて
注射器を取り出して、それを腕に刺そうとした時に、ヒロくんが扉を蹴破って入ってきた
風見さんが刑事ドラマのようなセリフを言ってオーナーと店長を取り押さえる
「っ…!」
ヒロくんに抱きしめられてホッとした
「来るの遅い…」
「ごめん…」
早急に手首のロープを取ってくれた
痕が残った手首を悲しそうな表情で見つめる
ヒロくんのパーカーで私の身体を包んでから、後ろ向いてろと告げて、オーナーと店長のものに行って、いつか見た冷たいあの表情で2人を殴りつける