第51章 business trip
「知ってるって言っても歩いてるのを見かけた事があるだけだ
弟連れてよく散歩してたよな」
「そうですね
さんを覗き込んだあなたに驚いて、彼女を泣かしたことも覚えてますか?」
そんなことあったか?と惚けている大和さんに笑ってしまった
2人の会話に入りつつお酒を楽しんだ
高明さんはヒロくんの話題に触れてくることはなくて、どう誤魔化そうと思っていたのに拍子抜けだった
ホテルまで送ってくれた高明さんに「また来てもいいですか?」と尋ねた
「もちろん、また会う約束が出来て嬉しいです
身体に気をつけてください」
「高明さんも…」
握手をして高明さんと別れた
次の日は、少し長野を観光してお土産を買って東京に戻った
ヒロくんに長野のお土産を渡すとすごく喜んでくれた
「これ、俺が好きなやつ
兄さんが東京に来る時はいつもこれで…俺が喜ぶと頭を撫でてくれてた」
ヒロくんはお土産の箱を撫でて悲しそうな顔をして、ひとつ開けて口に運ぶ
「うん、やっぱりこれが好きだな
懐かしい…味がする…
ありがとう」
「私も昔ヒロくんにわけてもらって食べてたの覚えてたから…」
「そっか…兄さんは?元気だった?」
「元気、元気!大和勘助さんていう人にも会って一緒に飲んだよ
ヒロくんも知ってる?」
「んー?あぁ!思い出した!ちょっと強面の色黒の人だよな」
ヒロくんは、すごくはしゃいでいて長野の土産話を楽しそうに聞いてくれた
「兄さんに会いたいな…」
「うん、私頑張る!組織を壊滅できるように、頑張るから…」
「…ありがとう…巻き込んじゃったの俺らなのに…ほんとごめんな…」
「気にしないで…巻き込んでもらえてよかったって思ってる
じゃないと私もヒロくんは死んじゃったって思ってるんだもん…そんなの嫌だよ…」
しんみりしている所で零くんからの着信で慌ててヒロくんのセーフハウスを出た
零くんに高明さんの報告をしてお土産も渡した
あと2つ渡さないといけない人達がいる
少し緊張して、陣平さんの家のチャイムを鳴らした