第50章 grow apart
「これ、研二さんから陣平さんに返してもらえないかな?」
なに?と袋の中を見ると陣平ちゃんのシャツ
「陣平ちゃんとなんかあった?喧嘩?」
「喧嘩って言うか今ちょっと顔合わせずらくて…お願いできない?」
「いいけど、ほんとどうしたの?」
力なくごめんね…と言う
目元は少し腫れてて昨日泣いたのかな?と推測を巡らせる
陣平ちゃんの所に行くと、こっちも元気がなくて落ち込んでいる
「こら、なに腑抜けてんだよ
これ、ちゃんから」
「そっか…萩原に預けたのか…」
「なんだよ、どうしちゃったのお前ら」
陣平ちゃんも何も言わないけど、原因は間違いなく陣平ちゃんで…
「俺、もうダメかも…」
珍しく弱気な事を言っていてなんて声をかけていいかわからなくなった
「後悔しないようにやれよ」
ポンと肩を叩いて刑事課を後にした
パタパタとかけて行くちゃんを捕まえて、渡しておいたよと伝えた
「ほんとにごめんね…ありがとう
陣平さんなんか言ってた?」
「ダメかも…って落ち込んでた」
「陣平さんとの距離感がわからなくなっちゃった…」
「え?どういう事?」
「あっ、ごめん…こんなこと研二さんに言っても困っちゃうよね…」
ポンとちゃんの頭に手を当ててその上に自分の顎を乗せた
「そのままでいいと思うけどな…距離感とか考えなくてもいいんじゃない?
ほら、今俺とも距離ゼロだよ」
「研二さんらしい」
笑ってくれてホッとした
「しばらく帰れないんだけど、帰ってきたら陣平さんと話してみるね、ありがとう」
「うん、気をつけてね」
手を振ってちゃんを見送った