第40章 Help
俺の胸ぐらを掴んだ松田の手は震えていた
「ごめんな、何も話せなくて…」
「ダチだと思ってたのは、俺だけだったみたいだな」
「陣平さん、それは違うよ
ヒロくんも零くんも大事な友達を危険に晒さないために、だから…」
優しく松田の手に触れて、俺の胸ぐらから離した
「ったく、には負けるよ…」
「ちゃんも病室帰ろ、まだ傷痛むんだろ?怪我人は大人しくしてなきゃ」
を横抱きにしてゼロの病室から出ていった
去り際にウインクを落としていく萩原
松田にゆっくり話してこいと言っているみたいだった
「はぁ…まぁあれだ…とにかく無事で良かったよ…早く治せ…でも、無茶すんな
の泣き顔なんて見たくねーんだよ」
サングラスに隠れて表情はよく見えないけど、松田なりに心配してるみたいだった
「これからは、連絡取れる様にしとけよ」
「それと、お前ら2人が揃ってるのが珍しいからこの際はっきり言っておく
俺はが好きだ、お前らにも断った事だしこれからは本気でアイツを落としにかかるからな
時々、からお前らの匂いがするからな…もう、遠慮はしねぇぞ
あいつが誰を選んだとしても、文句いいっこなしだ、わかったか?」
ピシャっとドアが閉まって、松田の言ったことを理解するのに時間がかかった
「松田は強敵だぞ、いいのか」
「え?あぁ…待て、俺だけじゃないゼロもの身体に匂い残すような事したのか?」
「気になるか?」
「それは…」
「安心しろ、一緒に眠っただけだ」
ゼロが酷く落ち込んでいた時だろう…
そろそろ自覚しろと言われた
自覚か…最近薄々気づき始めた
でも、死人になってる俺にはどうする事も出来ないだろう…
なら、いっそ松田に大事にされた方がいいのではないか
明るい日の下を一緒に歩くこともできない、俺と一緒にいたって辛いだけだ
大丈夫、まだ引き返せる
への気持ちを自覚しているけど、ソッとその気持ちに蓋をして閉じ込めた