第39章 Traitor
ヒロが…
死んだ
間に合わなかった…
をヒロにつけたけど、それも無駄になってしまった
「零くん…」
「か…ヒロが…ヒロが…」
「すみません、私、何の役にも立たなかった」
はよくやったよ…そう言ってやりたかったのに、言葉が出てこない
「ごめん、ごめんね、零くん」
「出て行ってくれ、今は1人になりたい」
の背中をグイグイ押して部屋から追い出した
何時間閉じこもっていただろう
いつまでもこうしてはいられない、僕にはやらなければならない事がある
部屋のドアを開けるとが座り込んで眠っていた
「ずっとここにいたのか…僕の事を気にかけて?」
突き放してごめん
辛いのはも一緒なのに
ベットに運ぼうと抱き抱えるとが目を覚ます
「寝てていいぞ、ろくに寝てないんだろう」
「零くんは?一緒に……ねよ……」
喋りながらまた眠ってしまったをベットに下ろすと袖口をしっかり掴まれていた
「全く…君って子は…」
を抱きしめていると身体が冷え切ってしまっているのを感じた
温めるつもりで更にギュウと抱きしめる
身体が温まってきて、僕自身もウトウトし始めた
少しだけ、今だけの温もりを感じて眠りたかった
何時間眠っただろう
の小さな悲鳴と共に目が覚めた
「酷いな、が一緒に寝ようって言ったんだぞ」
「う、え…あの…」
「なんだよ…そんなに真っ赤になって、らしくないな」
「や…だって…顔……近い…」
身体を小さくして僕の胸元に顔を埋めた
顔が近いと恥ずかしがる癖に身体は密着させてくる
あいつらが夢中になるはずだ
もう少しだけ、の事、独り占めしていいか?
ヒロ…