第37章 Kitty
陣平さんの部屋で目が覚めてかなり驚いた
当たり前のように私を抱き枕のようにして眠る陣平さんにもっと驚いた…
ほんと心臓に悪い…
そーっとベットから抜け出して、一旦自分の部屋に戻った
炊飯器をセットしてからシャワーを浴びる
膝の傷が染みた
また陣平さん達に助けられちゃったなぁ…
私も警察官の端くれとして、あの女の子を助けたかった
逆に捕まったなんて零くんに知られたら、「お前それでも公安か?」と叱られそうだ
炊飯器は保温になっている
炊けたみたいで、おにぎりを作る準備をした
あと、卵焼きとウインナー
2日ぶりに帰ってきた我が家にはまともな食材がないので、これくらいで許して欲しい
お弁当箱におにぎりと少しのおかずを入れてランチバックに入れて陣平さんの部屋に戻った
陣平さんはまだ眠っていて起こさないように手紙を書いてそっと部屋を出る
鍵を郵便受けに入れて、セーフハウスの方に戻った
お昼頃、健二さんから電話があった
「お弁当ありがとうー、めっちゃ美味かった」
「大袈裟だよ、卵焼きだけだよ作ったの
そんな喜んでもらえるなんて思わなかったよ」
「気持ちが嬉しいの!それに手作り弁当なんて食ったの久しぶり
でも、陣平ちゃんは機嫌悪かったなぁ…」
電話の奥で陣平さんの声がする
「朝起きたらちゃんいなくてショックだったって」
大きなノイズが聞こえて
いってーな、何すんだよと言う健二さんの声がした
「ごめんね、陣平ちゃんの八つ当たりだから
でも弁当はしっかり食ってたからご心配なく
今度からちゃんと起こしてあげてね」
ブツッと急に切られて健二さんの安否を心配した
殴られてなかったらいいな…
陣平さんからメールが送られてくる
美味かったと一言だけ
夜、準備を整えた私は諸星大がいつも行くというバーに向かった