第37章 Kitty
翌日、いつものバーで飲んでいると昨日のKittyがやってきた
思った通りに
なんの目的で俺に近づいてくるのかはまだわからないが、俺が組織の人間として接触してくるのは間違いない
ハニートラップか…
なら、お手並み拝見といこうか
気がある振りをしているから、そろそろ仕掛けてくるかもしれん
「昨日はありがとうござました」
「気にするな」
不思議な女だな
幼さが少し残るが、凛としていて仕草一つ一つが女っぽい
十分に色気を醸し出していて、ハニトラと気づかなければ容易く落ちてしまいそうだ
何人の男をたらしこんできたのか、聞いてみたくなった
特に仕掛ける様子もなく、もしかして本当に1人で飲みたくなってやってきたのか?と考えを改めようとした時に、女が席を立った
「ゆっくり飲めてよかったです、じゃぁまた」
横目で見送り彼女がバーを出て行ったのを確認した
バーボンを飲み終えて、俺も帰ろうとチェックをバーテンに頼んだ
ガランとドアベルがなり客が入ってくる
「さっきの女の子、大丈夫かな?警察呼んだ方がよかったんじゃない?」
「ただのナンパだろ…巻き込まれたくねぇよ」
「でも…無理矢理連れていかれそうだったじゃない」
カップルがナンパをされていた女の話をしていた
彼女でなければいい、思い違いならいいと思いも込めてこの辺りを探す事にした
パトカーが止まっている
様子を伺うと制服警官が数人の男を窘めていた
路地の奥には、やっぱりさっきの女
刑事っぽい風貌の男に抱きしめられていた
知り合いなのか…男は大事そうに女に触れているし、女も安心したように男に身を委ねている
もう1人、長髪の男が彼らに近づいて女の頭を撫でた
膝を怪我したみたいで、傷口を綺麗にしてもらい、絆創膏を貼られていた
ひとつの可能性が頭を過ぎる
彼女は警察の人間かもしれない
これは警察のデータベースに潜り込む必要がありそうだ
彼女が警察の人間なら、上手く行くかもしれない
こっちから彼女に接触する必要があるな
そう思いながらその場を後にした