第36章 Training
言われた通りにシャワーを浴びてバスローブに身を包む
ベットに座る零くんにこっちに来いと誘われた
「僕の事をその気にさせてみて」
「へ?」
フリーズしてしまった私に零くんが微笑みかける
意味が全く理解できない
「には、落としてもらいたい男がいる
組織のやつなんだが、胡散臭いというか気に食わないというか…とにかくあいつの弱みを握りたい」
半分零くんの私情が入ってるじゃない…本格的なハニトラをやれって事か…
その男に抱かれてこいと言われている気がした
ヒロくんと一緒に小さい頃から一緒に遊んできてもう1人のお兄ちゃんみたいだった零くんにそんな事を言われた
ボロボロと涙が溢れてくる
零くんに背を向けて顔を隠した
「はぁ…」
深い零くんのため息…
涙を拭いて、少し振り返りながら零くんを見つめる
「合格だ」
こっちに近寄ってきて零くんの方に向かされて、親指の腹で涙を拭ってくれた
「その顔、すごいそそられた」
「何言って…」
ギュッと抱きしめられて零くんは小さく話し始めた
「ヒロに危険が迫ってるかもしれない
スパイだって、バレてしまうかもしれないんだ…
あいつの弱み、ボロが出ればヒロから目を背けられるかもしれない…
やってくれないか…」
「わかった、ヒロくんの為になるなら…やるよ、私」
バレてしまうって事は殺されてしまうかもしれない…ヒロくんがいなくなるなんて絶対嫌だ
零くんの言うあいつの写真を見せてもらう
あれ、この人どこかで…
「私、この人知ってる…前バーでお酒ご馳走になった」
「まさか…」