第36章 Training
零くんのシャツを借りて着ていた服は洗ってもらっている
「なんの情報が欲しかったの?」
零くんが穴が開くんじゃないかと思うくらい見つめているPCを覗き込もうとしたらパタンと閉じられてしまう
私は知る必要がないって事か…
ふーん、今は協力者のはずなのに…隠し事か…まぁいいけどね…
ちょっと不貞腐れ気味にそのままの体制でそんな事を思っていると零くんが私の名前を呼んだ
「僕の事ももっと警戒して欲しいんだが…」
「え?なに?」
「それ、仕舞え…」
零くんが指さしたものは、手をついた事でシャツの隙間から見えてしまっている谷間だった
「見ないでよ、エッチ」
「不可抗力だろ」
「零くんも上着てよ」
零くんは昔からくつろぎモードになると上半身裸だった
見慣れているとはいえ、褐色の肌鍛えられた身体を惜しげも無く披露されればやっぱり少し照れてしまう
ヒロくんも陣平さんも研二さんもみんな無駄にいい身体すぎたよなと変なことを思い出す
「どの男の事を思い出してた?」
「は?ちょっと近いっ…」
ズイッと現れた零くんの顔を押しのけた
「あーぁ、仕事頑張ってきたのに報酬はなしか…久しぶりに零くんの入れてくれた美味しい紅茶飲みたかったのにな…ミルクたっぷりのロイヤルミルクティー」
「ハイハイ、今朝作ったデザートもつけてやろう」
「わーい、やった!」
顔が良くてスタイルもいい、料理も出来て仕事も出来る
苦手な事とかないのかな、この人は…
それから時々、ヒロくんには内緒の任務を課せられた
その度に終わったら零くんの家に連れてきてくれてシャワーを借りてデザートを食べさせてくれる
その後送ってもらうと言うのが一連の流れになった
その日も任務を終えて、零くんの家に行くのかと思ったらホテルに連れてこられた
「なんで?」
「まぁまぁ…ほら、シャワー」
「何する気?」
「訓練だ」
零くんの考えていることが全然わからない