第3章 travel
兄さんと別れて俺達は別荘へと向かう
電気、ガス、水道問題なく使える
別荘のリビングには両親が健在だった頃、家族4人で撮った写真が飾られていた
はじっーとその写真を見つめている
「ヒロくんちっちゃくてかわいい」
「懐かしいな…確かも1回ここに来たことあるはずだけど、覚えてないよな」
「全然、ヒロくんとそんな時から遊んでもらってたなんて今でも信じれないもん」
「ちょっと待ってて」
確かここにあったはず
両親が兄さんと俺とそれぞれにアルバムを作ってくれていた
それが確かこの辺に…
あった!
「見てみて」
「あ、ほんとだ…赤ちゃんの時の私がいる
なんか不思議だなぁー
うちは昔から両親が不仲だったから、写真なんてほとんどなかったから、こんな風にヒロくんちのアルバムの中に自分がいるなんて思ってもみなかったな…」
アルバムを見たらいろんなことを思い出した
赤ちゃんが物珍しくて触りたいけど母さんに危ないからダメって怒られて兄さんが抱っこしてる隙に少し手に触れてみたら笑顔を向けてくれて指をキュッと握られた事
"ひろみつ"って言わせたくてに一生懸命自分の名前を言っていた事
パパ、ママより先に「ひー」と俺の事を呼んだ事
それが嬉しかった事
今思えばのお母さんはうちに来てよく泣いていた事
お父さんとの事を母さんに相談しに来ていたんだろうなと思った
「ヒロくん見て、私すごく嫌がってる」
「ほんとだ…」
が指さした写真には
小さな俺がを抱っこしていて口にキスをしていた
続けて撮ったのだろう、その隣にはギャン泣きしていると落ち込んでいる俺
「のファーストキスは俺って事か?」
「えー、これはノーカンでしょ?」
写真を見返して話が弾む
気づけばもう遅い時間でも眠たそうにしていた
「そろそろ寝るか、明日スノボするんだろ?」
この近くにはスキー場があってスノボを教えてくれと頼まれていた
「うん、じゃ寝るね、おやすみなさい」
「おやすみ」
たくさん運転したし、今日はさすがに疲れた
別荘の外見は明日チェックするかと落ちてきた瞼をゆっくりと閉じた