第3章 travel
「よし、やるか!」
屋根に登りふり積もった雪を退けて雨漏りしている箇所を特定する
少しだったが、雨漏りした形跡があってこのままでは春の雪溶けの時に大変な事になってしまうと思い、に待ってもらい急いで修理をする
「ヒロくーーーん、ちょっとお散歩してくるねー」
「おう、あんま遠くに行くなよ、すぐ終わるから」
うんと返事をして、雪の感触を楽しんでいるかのような後ろ姿を見送った
「これで、よし」
屋根から降りてもが帰ってきている様子はない
「遠くに行くなって言ったのに…」
を探しに足跡を辿れば、手を繋いだ小学生くらいの男の子と女の子
女の子は泣いていた
「ボウズ達どうした?」
泣いていた女の子が顔をあげて一生懸命説明し始めた
「それって、ボンボンのついた茶色のニット帽被ったお姉さんだったか?」
「そう、優しいお姉さんで、こいつが落としたぬいぐるみを危ないからって拾ってくれようとして、落ちちゃったんだ…」
ボウズも泣きそうな顔をしていた
だな…
「お前ら、お父さんとお母さんと一緒だろ?
このこと説明できるか?助けを呼んでくれって」
「「できるっ」」
「いい子だ、兄ちゃんは先に行ってそのお姉さんを見つけてくるから、大体の場所でいい教えてくれ」
「わかった!」
ボウズのたどたどしい説明を聞き、ずっと泣いている女の子に心配するなと頭を撫でての元に向かう
大声での名前を叫んでも返事はなかった
子供の足跡を辿ってきたのに、こっちじゃなかったか?
もう一度の名前を呼ぶ
「ヒロくん!!」
微かだが返事があって、下を覗き込んで見ると半泣きのの姿があった
「無事か?」
「うん」
これじゃ1人で登って来れないな…
「待ってろ、すぐそっち行くから」
「危ないよ!」
「大丈夫」
ゆっくり斜面を降りての所まで降りてきた
「怪我は?」
抱きついてきたの腕や足を触ってみると足首が少し痛いと言う
捻ったか…
「ばか、子どもを助けといて自分が落ちるやつがあるか」
「ごめんなさい…でも、咄嗟で…あの子達は?」
「心配ない」
「良かった…」