第31章 Hold
気を使ってくれている
いつもは1度触れたらなかなか手を離してくれないのに、立たせてくれたと思ったらすぐに手は離された
さっき怖がってしまったから
前を歩く2人に追いついて、2人の間に割り込む
「さっきはごめんね、もう大丈夫だから」
そっと2人の手を繋いだ
「なーに?ちゃん大胆ー」
「へへっ、たまにはこうして手を繋いで歩くのもいいかなーって
あれ?陣平さん?」
「ほっといてあげて、照れてるからあれ…」
クスクス笑う研二さん
陣平さんは繋いでない方の手で口元を隠してそっぽを向いている
つないだ手がギュッと力強く握られた
コンビニに着くまで、3人で手を繋いで歩いた
研二さんはブンブンと大きく腕を降ったりグイーっと高く腕を上げたり楽しそうだった
お酒を選んでいる時には離された手
オススメだったり、美味しそうって思ったお酒だったりドンドン籠に入れていく
おつまみもたくさん買い込んだ
「私も持つよー1つ貸して?」
「いいから、ほら」
差し出された大きな手
「陣平ちゃーん繋ぎたいなら繋ぎたいってちゃーんと言わないと」
一瞬チラリとこっちを見て、パシっと手を取られてさっきみたいに手を繋ぐ
「全く、素直じゃねーな
ちゃん、俺とも繋ごうね?」
「え?うん…重いのにごめんね」
「大丈夫、大丈夫」
私の部屋に戻って2人はお酒を次々に空けていく
昨日の教訓もあるから、私はチビチビと自分のペースで飲み進めた
「どう?酒は、美味しいって感じる?」
「んーー、まだわかんない2回目だし」
「これからは美味いもの食いながら酒も飲める
居酒屋連れてってやるよ、BARでもいいな」
「楽しみにしとく」
本当にこの2人はお酒が強い
あれだけ買ってきたビールがもう残り少ない
くだらないことでも大笑い出来て楽しかった
零くんとヒロくんと一緒にいても落ち着けるんだけど、状況が状況なだけに空気もピリピリしててこんな風に楽しくお酒は飲めないだろうなーと2人を見て思った
いつか、伊達さんも呼んで6人で大騒ぎしながらお酒を飲んでみたいってそう思った