第31章 Hold
おかしいよね…
陣平さん、研二さん、ヒロくん
誰とも付き合ってない私
でも、体の関係はあった
それなのに少しドレスを脱がされて身体を触られただけなのに、こんなに気持ち悪くてこんなに嫌悪感しかないなんて
汚れてしまったみたいで、嫌になった
シャワーから出てルームウェアに袖を通す
深呼吸してリビングのドアを開けた
「ごめんね、お待たせ
ねぇ、ねぇ…お酒買いにいかない?飲みたくなっちゃった!
私の買ってくるね、2人はビールでいい?」
ドンと陣平さんの手が壁をつく
もう片方の手も壁について陣平さんと壁の間に挟まれた
「無理に明るく振舞おうとするな…頼むから
どうせ、公安の仕事の事だろ?
話せないこともあるだろうし、無理には聞かねぇから…そんな無理矢理な笑顔見たかったわけじゃねぇよ…」
ズルズルと壁伝いにしゃがみこんでしまった
「もー陣平ちゃん、ちゃん怖がってるじゃん
壁ドンなんて隣の人に迷惑でしょ?
それより、お酒ってちゃん飲めるようになったの?」
「20歳になりました」
「えぇ?!」
「はぁ?」
2人の大声にビックリした
「なんで言ってくんなかったの?」
「聞かれなかったから」
2人はまた大きなため息をついた
「こっちはな、まだかまだかと待ってたんだぞ」
「お祝いしてーって言ってくんのかと思ってた」
「いつもご飯ご馳走になってるのに、そんな事言えないよ…」
「そっか…じゃ、今からしよ
20歳のお祝い」
「つーか、なんだこれ」
首にと手首につけていたネックレスとブレスレットを人差し指で順番にクイっと引っ張った
「えーと、零くんとヒロくんから貰いました」
「誕生日プレゼントか?」
「まぁ…」
私が喋る度に陣平さんの機嫌がだんだんと悪くなる
「しゃーないって、あっちは幼なじみ
知らない方がおかしいから、ね?落ち着いて
どうどう…」
ネコが威嚇してるみたいにフーフーって静かに怒っていた
「今日はとことん付き合ってやる、好きな酒なんでも買え」
ほら…と手を差し出された
手を取ったらグイっと引き上げられた
「コンビニしか、開いてねーか
残念…」