第31章 Hold
タクシーに飛び乗って家まで向かってもらう
足早にマンションのエントランスを駆け抜けてエレベーターのボタンを連打した
カツカツとヒールで歩く度に音が鳴った
こんなの早く脱ぎたかった
カバンから鍵を探すがなかなか見つからない
モタモタしているとカバンの中身ごとひっくり返してしまう
ガチャリと音がして会いたくなかった人達が顔を出す
零れてしまったカバンの中身と鍵を拾って部屋の中に駆け込もうとした
ドアを早く閉めたい
でも、それを陣平さん達が許さなかった
「、どうしたんだ?」
「なんかあったの?顔合わしたのに逃げるように…」
ダメ…ダメ…今はダメ…
今喋ったら泣いちゃう…
2人の体をグイグイと外に押し出すけど全然動かない
反対に研二さんに抱き抱えられて部屋の中に連れていかれた
「陣平ちゃん、水!早く」
「お、おう…」
冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを取ってきれくれてキャップをあけて持たせてくれる
「それ飲んでちょっと落ち着こうな」
優しい声で研二さんが言ってくれた
スーッと心が軽くなった
「ごめんなさい、取り乱しちゃって…もう落ち着いた、大丈夫だから」
笑って見せたのに2人は全然納得出来てないって様子だった
「強がんなって前に言わなかったか?」
ソファーに座る私の前に陣平さんが膝を折って座る
多分撫でてくれようとしたんだと思う
その手にビクッと反応してしまった
行き場を無くした陣平さんの手が元の場所に帰る
「ごめんなさ……、わたし…」
「気にするな…」
傷ついたって顔に書いてあるのに陣平さんは優しく笑う
「ちゃんさ、シャワーでもしてきたら?その格好落ち着かないでしょ?
俺たち待っててもいい?」
「うん、本当にごめん…」
ドレスを脱ぎ捨てて頭から熱いお湯を浴びる
メイクも全部綺麗に落として触られた所全部綺麗に洗った