第30章 Party *
くそっ、どこだ…どこにいった…
慌ててを探す
待ち合わせ場所とは反対の非常階段と書かれた扉の向こうからの声がする
「こんな所で…ダメです…」
「いいだろう、君も物欲しそうに僕の事を見ていたじゃないか」
聞き耳を立てて向こうの様子を探る
本気で嫌がっていると確信して扉を開けた
黒のドレスのファスナーは途中まで下がっていて男がの身体に貪りついていた
「お客様、こちらは立ち入り禁止となっております」
チッと舌打ちをして男は建物内に引き返した
男が去ったのを背後で確認してからに駆け寄る
「大丈夫か?」
「来るの遅い…」
「ごめん…」
ファスナーをきちんと上まであげてを横抱きにして階段を1段1段ゆっくり降りた
「中見えちゃう…」
「誰も見てない、足を痛いんじゃないのか?暴れると落ちるぞ」
そう言うと大人しくなって俺の首にしっかりとしがみつく
「怖かったか?」
コクンと頷いた
「もう大丈夫だからな…
早くあいつと合流しよう」
グズグズ泣いているを抱え直して地下の駐車場まで降りて乗ってきた車に戻る
「遅い…
どうかしたか?」
「ちょっとな…」
ゼロの上着を借りて少し震えていたを包んでやる
車を走らせるゼロ
重たい空気の中、が口を開いた
「遅くなってごめん…盗聴器はちゃんと仕掛けたから
ごめん、ここで下ろして」
「でも、そんな格好…」
「タクシー拾うから…ごめん…ちょっと混乱してる…ちゃんと切り替える
明日になれば落ち着くから今は1人にして、お願い」
無理矢理車を止めさせては降りていった
「怖い思いさせちまったな…」
「ヒロ、これは公安の仕事だ…そんな事言ってられない
もそこはちゃんとわかってる
だから、切り替えると言って車を降りた
違うか?」
そうだよ、そうだけど…普通の20歳の女の子なら経験しないような事をやらされているんだ
もうちょっと優しくしてやったっていいんじゃないのか?
そう反論仕掛けて、その言葉を飲み込んだ
ここで俺達が喧嘩したって意味はない
今度に会った時思いっ切り甘やかしてやろうと心に決めた