第2章 新しい姉妹達
喜瀬川はしゆきに名をやった後、馴染みを迎えに花魁道中をしに行った。その頃しゆきは昼餉を食べろと女将に指示され、小さい個室へと向かった。
真ん中には小さな丸い机があり、
その上には湯気をあげる真っ白なご飯、味の染みたお漬物、綺麗に盛り付けられた野菜。脂の滴る焼き魚。さらに、今にも崩れそうに柔らかい白身の煮付け。
見たこともないような豪華な食事が用意されていた。
「うわぁ…こんなに食べていいんですか?」
「言葉!!」
「た、食べていいでありんすか?」
「あぁ、たんと食べるんだ。あたしは仕事に戻るからね。全部食べ終わったら呼びにおいで。いいかい、全部だよ。」
「わかりま…わかりんした。」
返事をすると女将さんは部屋を出て行った。
改めて用意されていた食事を見ると、本当に凄い。
うちは武士といえど下級武士だったし、ここまで豪華な食事は出ては来なかった。こんな貴族が食べるような食事は食べたことがない。麦が入っていない米だけのご飯を食べるのも初めてだ。
狭い部屋で、食事の音だけが響く中、黙々とご飯を食べている。
そんな時ふと、しゆきの目から1粒の涙が落ちた。