第1章 天女達の街
「わあ…!」
"せげん"と呼ばれた人に連れられ、華やかな街へ来た。
大きな門をくぐると多くの人達が行き交い、格子のようなものの中には天女と言える程の美しい女性達が並んでいる。
「ねぇ、せげんさん。ここはどこ?あの人達は天女さま??」
「ここは吉原だ。お前もあの天女さまになるんだよ。」
「私もあんなに綺麗になれるの?!」
「そうだ。お前はあの人達を超えれるよ。」
(この子は下級武士の子だし、芸は一通り出来るだろう。顔も美しい。)
「お前は吉原一の大見世、稲光楼に連れて行ってやろう。」
「?」
美幸はこの人が何のことを言っているのか分からなかった。
ただ、あの美しい天女さまのような人達の中に入れることを喜びに感じていた。
ここがあの美しい人達にとっては地獄なのだと知らずに。