第3章 厳しい稽古
返事をして歩き始めた。
早い時間で見えにくく、長い廊下を延々と歩き続けて行き右に曲がると、他とは違う豪華な襖が見えてきた。やはり喜瀬川花魁ともなると待遇も他とは全く違うのだろう。
しゆきは静かに襖を開き挨拶をした。
「おはようございんす」
「おはようしゆき。おや、綺麗になっていんす。やはり見目を整えると美しいでありんすな。」
「き、喜瀬川姐さんこそ…」
自分の美しくなった姿を見せに来たしゆきであったが、喜瀬川に目を奪われた。喜瀬川が髪をおろし、着物がはだけていた状態であったからだ。普段の雰囲気と違い、さらに妖艶な姿は同性もを魅了する。
「髪を洗ったのでありんすか?」
女将さんからは髪洗い日は決まっていると聞いたが…花魁にまでなると、そこまで融通がきくのだろうか。
「いや、さっきまで客がいて客に要求されたのでありんす。ほんにあのとんちきは…わっちは好きいせんやし。ハァ…しゆき、髪結いを呼んできてくりんせん?」
「わかりんした。」