第1章 二人の相性【爆豪勝己:裏】
雄英高校1-A教室内。
クラスの中心に居るのはいつもあいつだ。
。
時間を止める個性ですげぇんだと。
時間を止めて動けるのはあいつとあいつが触れてるものだけ。
時間を止めた時に壊れた物は戻せねぇらしいし。
そんな姑息な個性、俺はすげぇとは思わねぇ。
「爆豪くん!」
帰りのホームルームが終わるなり、がキラキラした目で俺の机の前にやって来る。
「今日ね、お茶子ちゃん達と駅前の新しいカフェに行こうって話になったんだけど、爆豪くんも一緒に行こうよ!」
「カフェ?」
そんな女が行く場所、誰が行くか。
そう言って断ろうと思ったのに。
「爆豪くん、ね、お願い……!」
は俺のバッグを掴んで離さない。
「おい、離せ。」
「行くって言ってくれたら離すからっ……!」
「つーかなんで俺なんだよ。」
「爆豪くんと一緒に行きたいと思ったからだよ!」
はまた、目をキラキラさせて屈託のない笑顔で答える。
コイツのすげぇ所は、素直に本心を言える所なんだろう。
皆んながの周りに集まるのが俺にもわかる。
一緒に居るだけで、話すだけで、からの好意が伝わる。
コイツは人が好きで、ヒーローになるべき存在なんだと。
「爆豪くーん?返事がないって事は……同行決定!」
「はぁっ!?ふざけんな!」
「取りあえず行くだけ!ね?」
は俺の話を聞かず嬉しそうにしている。
くそっ。
なんで俺が。
まぁ……駅前に行く予定もあったし。
行くだけなら……。
そう諦めかけた時。
「あ!上鳴くん!今日ね、お茶子ちゃん達と駅前の新しいカフェに行くんだけど一緒にどうかな!?」
「カフェ?行く行く!」
「本当!?ヤッター!」
は嬉しそうに上鳴とハイタッチをする。
わかってる。コイツは誰にだってそうだって事を。
けど他の男に……あぁクソッ‼︎
そう思った時にはもう遅かった。
イライラしながら席を立って、バッグを手にし、教室を出ようと歩き出すと
「えっ!ちょっと、爆豪くん!あの…カフェは……?」
「……かねぇ」
「えっ?」
「行かねぇって言ってんだよ‼︎」
そう言って教室を出て、思い切りドアを閉めた。