第2章 あたりまえなのだよ
正直なところ、黄瀬くんと黒子くんにはあまり会いたくなかった。
中学2年生になってすぐ、私は所謂不登校になった。それから2人とは会っていなかったし、今更どんな顔して会えば良いのかもよく分からない。
学校に行かなくなっても、真ちゃんから聞く話で、みんながみるみる上手くなって行ったことや、キセキの世代と呼ばれるようになったこと、みんながバラバラになってしまったこともなんとなく知っている。
みんな正しくはないけど、間違ってもいなくて、それでいて負けたくない。
旧友だったみんなは戦友に変わったのだ、ただそれだけのことだ。と思う私はだいぶ楽観的な考えのようで、真ちゃんには甘いのだよ、と呆れられる始末だ。
でも、私は決めたのだ。
あの日、真ちゃんが秀徳に誘ってくれた、あの日。
真ちゃんと日本一になると。
そして赤司と3人でまた将棋をすると。
『頑張ろうね、真ちゃん。』
「あたりまえなのだよ。」
(『あと2週間で予選だね。』)
(「あぁ、そしてその後は中間だ。」)
(『・・・・・嫌なことを思い出させるね。』)