第19章 可愛い恋煩い
■山田花子の場合
『急にごめんね、黄瀬くん。』
「いいっスよ、全然。」
珍しく(いや初めてか?)花子っちから相談したいと電話があったのは昨晩のこと。オレたちは部活帰りにマジバで待ち合わせをした。
バニラシェイクを2つ買ってどこに座ろうか席を探していると、知っている声が聞こえてきた。
「黄瀬と、山田じゃん。」
振り向くと数え切れない程のハンバーガーをトレーに乗せてそれを頬張る火神っちとシェイクを飲む黒子っちがいた。
「あれっ黒子っちと、火神っちじゃないスか。」
4人席に座っている2人のところにオレらも合流し、話を聞くと、2人も部活帰りにマジバに寄ったようだった。
「で、お二人はどうしたんですか?」
「オレらは花子っちが、・・・あっ!!」
黒子っちに会えたことでテンションが上がり、花子っちから相談があると呼び出されたのだということを忘れてしまっていた。
2人がいたら話にくくなってしまうのではないかと申し訳なく思いながら花子っちの方へ視線をずらす。
『ちょっと黄瀬くんに相談があってね』
花子っちは隣の席に座る黒子っちに少し気まずそうにしながら話す。
「なら、オレらも聞いてやるぜ?」
「火神くん、デリカシー無さすぎです。」
「あ?相談は多い方がいいだろ?」
なぁ?と火神っちが花子っちに同意を求めると、彼女はそうだよね、と納得した模様。
場所変える?というオレの助け舟にも乗らず、花子っちは多い方がいいかもなんてシェイクを1口飲む。
そして大きく深呼吸をすると、私の友達の話なんだけどね、と前置きしてから話し始めた。