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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第18章 口実になるだろう






考えるよりも先に動いていた、なんて言葉があるように私は話す前に部屋の扉に手をかけた真ちゃんの大きな背中に抱きついていた。自分でもびっくりしているが、真ちゃんもなかなか驚いているようだ。



「ど、ど、どうしたのだよ!!」



『こっち見ないで!・・・お願い。』



面と向かってなんて絶対に話せないと考え、振り向こうとした真ちゃんを制止させるために回していた腕に更に力を入れる。話さなきゃ、話さなきゃ、と思えば思うほど喉の奥で言葉が詰まる。



『あの、ね、』



真ちゃんの背中から聞こえてくる心臓の音が少し早く、そこから感じる体温が温かい。



『その、ね、』


言ってしまえ。全部。
そう思っているのに臆病者の口が全く開かない。この場に及んで私は怖気ついてしまったのだ。


当の想い人は、身動きも取れずされるがまま。
ほんのり耳が赤くなっていることに、このときの私は気付かなかった。



「オイ、そろそろ・・・良いか?」



どのくらい後ろから抱きしめていたか定かではないが、黙りこくっていた私に見兼ねたのか、真ちゃんが口を開いた。


どうやら今回は失敗に終わったようだ。
結局伝えたかったことは何も言えず、私はゆっくりと真ちゃんの背中から離れようとした。



『ごめんね、気にしな』



一瞬だった。
私が腕の力を緩めた途端、いつも見上げている真ちゃんの顔が目の前に降りてきて頭を引き寄せられ、言葉を遮るように触れるだけの優しいキスが私を支配した。



(「消毒・・・なのだよ」)

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