第16章 オレはオマエと
「ちっ、くそっ・・・・・」
あれから何本も何本もシュートを打ち続けてはみたが、やはり集中できるはずもなく、自分に苛立ちさえ感じる。
今頃花子は赤司と何をしているのだろうか。
仲良くカフェでおしゃべりしているのか、はたまたスポーツ用品店で買い物でもしているのだろうか、どんなに考えを巡らせてもオレにはその答えが分からなかった。
「しーんちゃんっ!」
そんなオレに気付いたのか、高尾はニヤニヤしながら声をかけてくる。全く面白くない状況だ。
「・・・・・。」
「無視すんなって!良いこと教えてやろーか?」
高尾がニヤリと笑う。
こういうとき大抵ろくなことがない。
「どーせ、山田が赤司と今何してんのか気になって気になって、仕方ねぇんだろ?」
「興味ないのだよ」
またまた〜なんていつもに増してうるさい高尾にオレの苛立ちも増す一方だ。それでもシュートを打ち続けていたが、高尾の一言に心が大きく揺さぶられた。
「将棋したいっていってたぞ、山田。」
「本当か?」
「おう。帰り際廊下で何すんのか聞いたら、決まってねぇけど赤司と将棋したいんだって、あいつ言ってたけど、」
そこまで聞いてオレはすぐに練習をやめて赤司の家に向かった。
赤司だって1人の男だ。いくら幼なじみとはいえ、そういうことだって有りうる、そう思ったらいてもたってもいられなくなった。