第15章 洛山に来い
花子を洛山に誘ったのは、今日で2度目だ。
1度目は全中が終わってすぐ、洛山に行くことが決まった日だった。僕の誘いに花子は少し悩んだ素振りを見せながら、こう答えた。
『京都は遠いよ、』
それに真ちゃんを置いて行けない、と。
しかしその数日後、真太郎から秀徳に誘われ、秀徳に行こうと思うと花子は照れくさそうに話した。花子と会ったのはその日が最後だった。
それから1つ気になってることがあった。
俯きながら黙りこくる花子に問いかける。
「僕が秀徳で真太郎が洛山でも、花子キミは秀徳に来たか?」
『・・・・・分かんない』
その声は聞き取るのがやっとな程小さくてか細い。
「花子は変わらないね」
本当に昔から。
「嘘が下手なのも昔のままだ」
でも花子は何か勘違いをしている。
「洛山に来い、というのは命令だ。よってキミに拒否権はない」
『ごめん、でも、行けない!』
「ダメだ。僕の命令は絶対だ」
『ねぇ、あかっ、』
はい、とは言わない花子を座っていたソファーに強引に押し倒し、頭の上で両手首を押さえつけ、花子の上に跨る。
彼女の怯えたような目が僕を捉える。