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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第49章 もう終わりにしましょう







「・・・すまない。」


『ん・・・っ、』



試合が終わり次の試合が始まる前にベンチ周りを片付ける。真ちゃんから声をかけられて返事をしなければ、と脳内で色んな言葉を巡らせたが、逸らされ瞳に滲む涙を見てしまったら口を開くのは気が引けてしまった。


私たちしか知らない真ちゃんと高尾のシュート。あのシュートが決まったとき、これで洛山に勝てる、正直そう思った。


しかし現実はそんなに甘くは無かった。
初めて見るもう一人の赤司のプレイスタイルは、私が見てきた赤司とは全くと言っていいほど違っていて、両の目を繰り出すなんて言い出したときには、本気で怖かった。


試合中はずっと真ちゃんから預かった将棋をポケットの上から握りしめ、ザワザワと騒がしい心の声を必死に鎮めた。結果、負けてしまったということは赤司の言う通り洛山へ行かなければ行けないのだが、今はそんなことよりも試合に負けたことが純粋に悔しかった。


先輩たちがいる今のチームでバスケが出来なくなる方のがずっとずっと悔しくて、寂しくて、悲しかった。だからだろう。自分の目から生暖かい雫が頬を伝った。


控え室に戻るまで我慢しなくちゃ、そう歯を食いしばり足元に視線を落としながら、真ちゃんたちがいる控え室へと足早に歩く。結局溢れてくる涙を止めることは出来なかったが、なんとか控え室の前までたどり着いた。


手すりに手をかけると、あることに気が付く。部員たちが声を出して泣いているのだ。マネージャーの私なんかよりも、選手のみんなのが絶対に悔しい。そう思うと、扉を開けることは私にはできなかったのだ。


きっと真ちゃんと高尾も泣いているだろう。
もう少し時間を空けてから控え室に入ろうと決め、向かいにあるベンチに腰をおろした。


そうしているうちにコートからは誠凛と海常の試合が始まっていて、歓声やバッシュの擦れる音、ボールの音だけがよく聞こえた。



『・・・どっちが勝つかな、』



誰かに問いかけたつもりもなく、口から零れたただの私の独り言。それにあろう事かどこからか返答がきたのだ。



「“僕”は誠凛だと思うな。」



まぁどちらでも構わないけれど、なんて冷たい言葉を付け足し目の前に現れたのは赤司だった。



「ちょっと2人で話そうか。」



そう言い、わざと私の視界にカッターをチラつかせた。


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