第9章 そういうことか
タイムアウトのときの監督の言葉が頭をぐるぐると回る。
「残り2分、全て緑間で行く。」
こんなピンチのときに1年の真ちゃんを頼るというのは、きっと先輩たちは良い気分じゃないはず、そう思ったからだ。
『監督、この場面で1年にやらせるのは、大坪さんたちだって、』
そこまで言うと監督は私の話を遮るように口を開いた。
「百も承知だ。それでもここから3年間の中心はあの緑間だ。キセキの世代を獲得するということはそういうことだ。」
そのとき真ちゃんへのパスを黒子くんがカットし、誠凛のカウンター。誠凛の4番がシュートを打つと、それを大坪さんが阻止した。
『・・・・・あぁ、そういうことか。』
秀徳は王者だ。
実力が全てということも分かっている。
先輩のプライドももちろん持っている。
でも、王者に最も必要なプライド・・・・・それは勝つことだ。
みんなそういう思いで戦っているんだ。
私は今この瞬間、初めて秀徳高校バスケ部の一員になれた気がした。
「緑間で行くってのは、同時に残りの4人でとにかく守れってことだ。溜めて溜めて一瞬のスキに緑間の3Pで首を落とす。分かったか?」
『はい。』
その後不気味な程にスコアは凍りついた。