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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第48章 カッコわりぃとこ見せてんじゃねぇぞ







『・・・え?真ちゃん!?え?なんで?』



結局昨日の夜は高尾に送ってもらったあと、足早にお風呂を済ませ、考えることを放棄した私はすぐに眠りについた。よく眠れたかと言えば、もちろんそんなことはなくて、嫌な思い出が夢の中で何度も何度も再生されて、寝たはずなのに、朝になって目が覚めると身体は重たくて仕方なかった。



・・・行きたくない。
そう思っているけれど、秀徳と洛山の試合に行かない訳にも行かず、身体に鞭を打って奮いたたせてなんとか家を出た。


そうして家を出ると玄関の前には、昨日別れを告げたはずの真ちゃんがいるもんだから、没頭のように驚いているのである。




「遅いっ!」


『あぁ、ごめん。・・・いや、じゃなくて!なんでいるの?』


「別れるつもりなど毛頭ないと昨日言ったはずだ。」


『・・・でもっ、』


「うるさい!遅刻するのだよ!」




私の話を制するように大きな声を出した真ちゃんに、少し強引に腕を引かれ体育館へと歩き出した。熱帯びていくその腕がほんの少し痛かったけれど、殺気立っているその背中を前にそれを伝えるのははばかれた。



今真ちゃんが何を考えているのか、分かりそうで分からない。私だって本音を言えばまだ好き、いやむしろ大好きで。でも自分の境遇を考えるとやっぱり別れた方がいいに決まっていて。そう思っているのに、握られているこの腕を離さないで欲しいだなんて思うのだから、どうしようもない人間だ。



結局体育館に着くまで私たちは一言も言葉を交わすことはなかった。


控え室に入ると、私と真ちゃん意外のみんなはもう既に揃っていて。洛山戦は今回の山場だからみんなピリピリしているのかと思いきや、思いの外いつも通りだった。それはもういつも通り過ぎるくらいにいつも通りで、私だけがなんだかソワソワしているような気もした。




「ヨリ戻った?」


『は?戻ってないから!』


「てか、真ちゃん。死んでも山田からは離れねぇだろうなぁ〜別れるの諦めたら?」


『うるっさいっ!』


「まぁ、今日は勝つから。安心して見てろよな。」




いつも通り笑いながら、珍しく高尾の大きな手が私の頭をわしゃわしゃと撫でる。その手が微かに震えていて、よくよくみんなを見ればいつも通りを必死に演じていることに漸く気がついた。


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