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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第46章 やらなくちゃいけないことがあるから






『真ちゃんとは別れた。』


「は?」


『だからいいの。赤司の好きにして。』


「・・・っ、」



今、動揺をしているのは花子ではなく、間違いなく自分の方だった。



花子から“どうぞ”と言わんばかりに身体を捧げられたのはもちろん初めてのこと。本人直々にGOサインが出たと言うのに、僕の身体はピクリとも動かなかった。いや、正確には動かせなかったのだ。




『どうしたの?』


「・・・っ、」


『もしかして、怖気付いた?』



首を傾げて上目遣いでそう問うのは、僕を煽っているからなのだろう。“ふざけるな”と思っているはずなのに、しっかりとソコは熱を持ち始めて芯が分かるくらいには硬くなっていた。


一体僕は何がしたいのか、自分でもよく分からなかった。花子とセックスがしたいのか、と聞かれたらそれはもちろんYESで。セックスするのに今までで一番良い状況下なのも理解している。


手を出せない後ろめたい理由はもう何もなくなったじゃないか。




『もしかして赤司、はじめ』



“て?”
と最後の花子の言葉を最後まで聞くことなく、その唇を貪るようにキスをした。なんだかバカにされた気がして、その苛立ちをぶつけるように花子の口内を犯す。


本当に致す気があるのか、花子は上手に僕の舌に自分のそれを絡めてくる。可愛い、素直にそう思った。



「一応言っておくが、僕は“はじめて”じゃない。期待に応えられなくて悪いな。」



酸素を求めキスを中断し、ちっぽけな自尊心を保つ為に敢えて童貞を否定した。そんな自分の身体はバカみたいに熱かった。


それなのに、花子ときたら息をあげることもなければ、熱帯びることもなく、涙さえも流さなかった。そんな渇ききってしまった花子とのキスはあんなにもしたかったはずなのに、心底虚しかった。


そして僕は酷く動揺した。
なぜか花子のその様は、遠い記憶の中の死んだ母さんと重なったからだ。サーっと身体の体温は急降下し、咄嗟に花子からも離れた。



それから思い出されるのは、ずっと忘れていたはずの母さんとの会話だった。

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