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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第46章 やらなくちゃいけないことがあるから






『そ、そういうことだから』



“おい、待て”
と、確かに電話の向こうの真ちゃんは言っていたが、用があるからと一方的に電話を切った。


別れようと言ったのは私の方なのに、泣きそうになってしまうのはどうしてだろう。きっとそれは真ちゃんを嫌いになった訳じゃないからだと思いたい。


それなのに何故その選択をしてしまったのか。少し後悔してしまいそうな気にもなるが、どうしても私はまっさらな状態でけじめをつけたかったのだ。


そうしてから、また真ちゃんと付き合いたい。
そんな風に考える私は、とんだ自分勝手だとも思う。


冷たい風が吹き抜ける中、ああじゃないこうじゃないを脳内でひとり繰り返し目的地である赤司の家を目指した。


・・・そこのマジバの信号を越えたら走ろう。
そう心に決めた通り、信号を越えてからは赤司の家まで止まることなく走り抜けた。



大きな黒い門はきっちりと閉まっていて、致し方なく横に着いているインターホンを押す。事前に連絡もしないで来てしまったが、赤司はもう帰ってきているだろうか。


もし居なかったら待たせて貰えばいい。
なんて図々しいことまで考えられるほど、何故か心には余裕があったし、赤司に会うのも怖くなどなかった。



「はい、どちら様でしょうか?」


インターホンから聞こえるその声は、赤司の家に昔から仕える執事のものだった。



『折原さんですよね?私、花子です。昔よくお邪魔していた、山田花子です。』



分かりますか、そう最後まで言い切ることなくその立派な門は大きな音を立ててゆっくりと開いた。覚えていてくれた、とほっと胸を撫で下ろし左右対称になっている長い長い玄関ポーチを進む。



「花子っ、」



私が玄関に着くよりも先にその扉は勢いよく開き、中から出てきた赤司は慌てた声で私の名を呼んだ。



「こんな時間に何しに来たんだ?ひとりか?鼻まで真赤じゃないか。」



色々と質問をするくせに畳み掛けるようなそれに、なかなか答える隙がない。


こんな時間なんて言うがまだ20時前で、そんなに遅くはない。

話したいことがあってひとりできた。

鼻まで真赤なのは寒いせいもあるが、走ったからでもある。


と答えることが出来たのは、暖かい手に引かれて赤司の部屋に入ってからだった。


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